給水ポンプの寿命、耐久性は？

●補修・交換の目安

ポンプの種類やメーカー、また使用頻度によって変わりますが、経年劣化による更新・補修・交換の目安は以下の通りです。
◯補修目安：8年　◯耐用目安：10年　◯交換目安：15年

●部位や部品によって耐久性が変わる。補修か交換かは、専門家の意見を参考に

ポンプの部品、部位によって寿命は異なりますので、まずはポンプのどこがどのように劣化しているかを把握することが工事の第一歩です。
専門業者に依頼してポンプを固定しているボルトやパイプ類がしっかりと固定されているか点検します。ボルトや支持金具のゆるみは振動の原因となり、ポンプ自体を損傷したり、騒音の原因となるからです。
順調に作動している場合でも部品の摩耗は進んでいますから、早めのオーバーホールをすることで寿命を（場合によっては格段に）延ばすことができます。適正な時期に修繕、交換することが一番コストを抑えることになります。

●（給水）ポンプが故障する主な原因

◯各部のネジの劣化や緩み
◯圧力タンクの劣化・損傷
◯回路基盤、インバーターなど制御モジュールの不具合・故障
◯ゴム部品やシール部品の劣化
◯ゴミ・ほこり・サビなどによる、パンプ本体の損傷・故障

※給水ポンプだけではなく他の種類のポンプにも同様の点が考えられます。
一般社団法人リビングアメニティ協会の「小型圧力タンク制御方式のポンプの部位別の取替周期」を参照すると部品により取替え周期が異なることが分かります。

分類	部品名	取替周期の目安
全体	ユニット全体/オーバーホール	10年/オーバーホールは4〜7年
ポンプ	軸受/メカニカルシール/グランドパッキン	1〜3年
制御盤	電磁開閉線/リレータイマー/プリント基板	3年
機器類	各種弁/圧力タンク/スイッチ、センサー類	2〜5年

出典：一般社団法人リビングアメニティ協会より

ポンプメーカー（川本ポンプ）のサイトには、詳しい故障箇所の解説が掲載されています。

給水ポンプの種類

建物の規模・高さや配管設備の特性、築年数など、また建築時に採用している給水方式により配管が変わり、給水ポンプの種類も変わってきます。大きく分けて３種類くらいがあります。

揚水ポンプ

最も一般的に用いられているポンプで、高架水槽を設置しているマンション・ビルで使用されます。受水槽へ一旦取り込まれた水を、高架水槽に汲みあげるポンプです。屋上タンクの水が使われて一定量以下になると自動的にスイッチが入り作動しますので、他の給水方法と比較して電気代が安くすみます。
加圧ポンプ（給水ユニット）

受水槽から直接各部屋へ水を送るポンプです。高架水槽を使用していたマンションが、高架水槽を撤去してランニングコストを軽減するために加圧式へ切り替えるケースが増えています。
増圧ポンプ（ブースターポンプ）

現在多くのマンションが採用している「直結給水方式」に使用されるポンプです。本管の水圧を利用し、不足する分を増圧してそのまま各部屋へ給水します。揚水ポンプ同様加圧が必要時だけ作動しますので、ランニングコストが安くつきます。また、受水槽や高架水槽も不要となり、水槽の清掃や管理作業が軽減されます。

ビル・マンションの給水方式

●建物の時代や環境・規模により給水方式は異なるが、現状「増圧直結給水方式」が主流に

マンションの給水方式は大きく分けると「加圧給水方式」「高架水槽方式」「増圧給水方式」の３つです。設置した年代や建物の状況により、設備設計の考え方は異なりますが、現在ではメリットの多い「増圧直結給水方式」に切り替えるケースが非常に増えています。

高架水槽方式

受水槽に蓄えられた水を、揚水ポンプにより一旦高架水槽へあげます。高架水槽からは、自然落下の力により各戸へ給水されます。
加圧給水方式

受水槽に蓄えられた水を加圧ポンプによって各戸に給水。停電時は断水しますので定期点検は非常に重要となります。停電時の問題と年1回の点検が義務付けられています。
増圧直結給水方式

水道本管とポンプを直接繋ぎ、増圧をして各部屋に給水。貯水槽がないため、貯水槽の定期点検、清掃などの維持管理費が不要になります。