そもそもマンションの「管理業務」はなにがある?
マンション住民の中には、管理業務のために毎月支払う「管理費」が、何に使われているのかよくわからない方もいると思います。
管理費の主な用途としては
・管理人の人件費
(共用部の)
・電気水道光熱費
・器具の交換修理費
・共有部の火災地震保険料
・エレベータなどの設備保守
・駐車場の管理運営費
・管理組合運営費
などです。
それぞれの細かい内容は国土交通省の資料にも記載されていますが、お金が関わりかつ専門分野の業務となりますので、多くの場合「委託」という形で外部業者(ほとんどの場合は管理会社)が行い、管理組合が管理費から支払いをします。
(国土交通省資料:マンション管理実務と必要な専門知識)https://www.mlit.go.jp/common/000191852.pdf
マンション管理方式にはどんな種類があるの?
マンション管理には次の3つの方式があります。
①全部委託方式 ②一部委託方式 ③自主管理方式
最も一般的な形態は、「管理組合」がマンションの「管理会社」へ業務をすべて委託する「全部委託方式」です。いわゆる「丸投げ」「お任せ」という形ですが、あくまでも「主体は管理組合」である点が重要なところです。
「一部委託方式」は、自分たちではできない、あるいは専門的な知識が必要な業務の一部を管理会社に委託し、会計業務など自分たちでできることは管理組合が行うという方式です。管理コストが安くなるメリットはあります。
管理業務を全て自分たち住民がやってしまう形が「自主管理方式」です。当然ですが、外部に委託するよりも経費はかかりません。しかしマンション管理に必要な専門的な知識が必要なだけでなく、幅広い業務を住民自身で行わなくてはなりませんので、最終的にはそれらの業務をすべて仕切る管理組合の組織運営が難しくなります。
自主管理方式のメリット・デメリットとは?
「自主管理方式」の実質的な最大のメリットは、やはり管理業務にかかる「経費のコストダウン」につきます。特に現在、管理会社に「全部委託方式」で業務委託している管理組合が、自主管理方式に移行する時はその効果が大きいと思われます。
しかし反面、専門家が行っていた住環境に関するさまざまな業務を行うことになるので、それなりの準備と専門知識が必要となることは覚悟しなくてはなりません。
管理費の用途について先述した何点かの管理業務は、当然それぞれの担当者を決めて継続的に行う仕組みを構築する必要があります。また大規模修繕工事は、専門的な知識・ノウハウだけではなく大きな予算管理も必要になりますし、なかには行政への報告義務のある業務も発生するため「素人」には大きな負担となります。
またそれだけではなく、
・住民間のコミュニケーションの調整
・共有部の清掃や消耗品の交換作業
・近隣の地域との関わり方
など、日常的に発生する課題の対応も住民が対応しなくてはいけません。
また管理費に対する考え方や生活スタイルも異なる住民が暮らす中、それらの業務負担を公平に効率よくやるためには住民のコンセンサスが重要となるだけでなく、「リーダーシップ」をとれる存在が不可欠です。
また、仕組みを作ることができて積極的に活動が行われている間はよいのですが、住民の高齢化に伴い自主管理どころか「理事」のなり手ですら不足する事態も想定しなくてはいけません。
さまざまな要件を踏まえ、お住まいのマンションがどの管理方式が合っているのかを、今一度、組合で検討するとよいでしょう。