排水設備改修工事のタイミングはどのように判断するの?
マンション排水設備の工事には2つのタイミングがあります。
ひとつは経年劣化を考慮した修繕計画に沿って行う「予定してある工事」。もう一つは、日常起きる予期せぬ事故やトラブルの発生に伴う「緊急の工事」です。
修繕計画に沿った「予定された工事」の場合
大規模修繕計画に予算や日程が組み込まれた工事は、「自動的に」行われるケースが多いようですが、ここでいくつかの問題点が発生します。
それは、まだトラブルが起きていないのに計画に沿って「自動的に」工事を進める場合、そもそもその工事が「現時点で本当に必要な工事」なのか?ということです。
「そろそろ排水管が寿命(のはず)だから」「業者の設備にたいする保証期間が切れるから」など、トラブルが起きる前に手を打つ「予防保全」という考え方が基本にして工事を行っています。
しかしこれらの「耐用年数を根拠とした劣化判断は」ある程度余裕を持って提示される傾向があります。まだ十分に利用できる状態なのにも関わらず、自動的に工事を行っている可能性もあるのです。
また、昨今の建築費の高騰が続く中、修繕計画の中でも本当に必要な工事を吟味する必要も出てきている背景もあります。
「管理会社が言っているから」とか「元々決まっていたことだから」などとお任せする前に、日程が決まっている工事だからこそ、十分な調査・点検をして複数の業者からの意見や見積もりをとるなど、時間をかけることも可能です。
見積もり比較によるコストダウンや、調査点検の結果によっては工事の時期を先送りして、他の緊急性を要する改修工事に予算を回すことも検討できるでしょう。
事故やトラブル時の「緊急性の高い工事」の場合
もう一つは、生活上の事故やトラブルの発生に伴う工事です。
こちらの工事は、漏水・詰まり・悪臭など緊急性を要する工事となるケースがほとんどなので、時間をかけた計画的な工事は難しくなります。
こういった工事の場合、人間で言う「かかりつけの医者」のように、普段から管理組合とその建物のことがよく分かっている工事業者とのパイプを作っておくことが、最善の対応につながるといえるでしょう。
排水設備改修工事はどのような進め方をするの?
共有部の排水設備は、そのマンションの設計により内容が大きく異なりますが、基本的に建物内部は「排水立主管」の更新工事となり、建物外部は「外部排水桝」「土中埋設管」の改修工事となります。
排水設備工事の一般的な流れ(スケジュールは目安)
専有部
①事前入室調査:部屋別に排水設備現状を調査
②専有部立管工事(1〜2日):壁解体→配管→内装(現状復帰)
③住居内横引き管工事(1〜3日):床解体→配管→内装(原状復帰)
共有部
④メータボックス内排水立管工事(1〜2日):解体→配管
⑤排水通気の改修工事(通気管、屋上通気金物更新)(1〜2日):最上階住居解体→屋上設備解体→配管→内装・屋上防水・屋上外装)
⑥土中埋設管、排水桝(工期は規模により大きく変わる):埋設管、排水桝掘り出し撤去→配管→現状復帰
マンションの排水設備改修の問題点と解決策とは?
マンション排水設備の改修工事には、専有部内の工事が絡むケースが多く見受けられます。
専有部に「排水立管(通称『タテカン』」が入っていたり、在来工法の浴室の場合などは下階の天井裏に配管を通していることもあるため、上階の浴室排水管工事の際は下階にも大きく影響があります。
各住居の排水管を更新する際、騒音その他の「マンションならではの問題」を解決する方法があります。大規模修繕計画に従って共有部の改修を計画している場合、ある程度工事までの検討期間が発生することを利用して、組合主導で専有部のリフォームを推進するというやり方です。
どちらにしても工事中は「排水禁止」の時間が出ますし、部屋の壁を壊し修復する工事が入るのであれば「ついでに」トイレの交換などもうまく組み込むことで、住民の工事費負担軽減にもつながる可能性があります。組合主導で検討してみてはいかがでしょうか?
マンション全体で同時に専有部のリフォームに取り組むことで、工事や材料の一括管理ができるため、住民・工事業者それぞれにメリットが発生します。